AI時代のリスキリングを“現実解”に落とすヒント
Japan IT Weekのカンファレンスで、印象に残った講演がありました。
FOX HOUND(株) 斎藤 輝幸さんの
「いらない社員はなぜ生まれるのか」
というタイトルの講演です。
タイトルは刺激的ですが、話の本質は「切り捨て」ではなく、
AI時代に“人をどう育て直すか” でした。
特に、中小企業の経営や現場に関わる人ほど刺さる内容だと感じたので、
要点と私の所感をまとめます。
(※内容は私の理解に基づく要約です。意図とズレがあればご容赦ください)
この記事で分かること
- 講演で語られていた「いらない社員」の定義(=何が問題なのか)
- AI時代に“解雇ではなく育成”が現実解になりやすい理由
- 中小企業こそ「リスキリング×AI活用」が効く背景
- 次に考えるべき論点(育成・導入の進め方)
「いらない社員」の定義:能力ではなく“変化への態度”の問題
講演で印象に残ったのは、いわゆる「いらない社員」が能力不足の話ではなく
変化に対する態度として語られていた点です。
私の理解では、タイトルで言う「いらない社員」とは、例えば次のような人です。
- 変化に適応しようとしない
- 変化に対応する取り組みを、意図せず(あるいは意図的に)邪魔してしまう
- 「今までこうだった」を理由に、意思決定や改善を止めてしまう
つまり、問題はスキルの高低だけでなく
「組織が変わろうとする時に“ブレーキになる状態」
そのもの、ということです。
産業革命とAI:共通点は「産業構造が変わる」こと
講演では、現在のAIの台頭が産業革命に似ている、という話がありました。
ここでの「似ている」は、技術そのものではなく、産業構造が変わるという点です。
ラッダイト運動の例
産業革命期、労働者が自動織機を破壊した「ラッダイト運動」が引き合いに出されました。
- “権利を守る”という側面もある
- 一方で「仕事を奪われる恐れ」への反発として語られることもある
ここで重要なのは、
機械が一部の仕事を置き換えた一方で、適応して新しい価値を生み出した人もいた
という点です。
AIも同じで、すべてを奪うというより、仕事の中身(価値の置き所)が変わる。
そして、その変化に適応できるかどうかが問われる──というメッセージに受け取りました。
「じゃあ、いらない社員をどうするのか」:現実解は“再教育・再配置
日本企業では、欧米型のように「合わない人を簡単に切る」というのは現実的ではありません。
法制度・文化・雇用慣行を踏まえると、少なくとも多くの会社にとっては
- 解雇で解決するのは難しい
- それ以前に、採用難の時代に人を減らすのはリスク
- 組織の知識や顧客理解が失われる
という事情があります。
だからこそ講演の方向性としては、
「いらない社員を排除する」のではなく
「使える人材”に育て直す(リスキリングする)」
が現実解になりやすい、という流れでした。
AI時代の働き方:AIが「補助できる領域」が増えた
ここは表現に注意が必要ですが、私の理解では、
AIが中堅〜ベテラン級の仕事をすべて代替するではなく
知的作業の一部(作成・要約・整理・案出し・分析補助)を補完し、スピードと品質を底上げする
が現実的な見方です。
その前提に立つと、企業側が取り組むべきは明確になります。
- AIを使いこなす人材を育てる
- 使い方の型(プロンプト、レビュー、情報管理)を組織に埋め込む
- 中途採用だけに頼らず、社内で底上げする
特にIT人材不足の状況では、中途採用は難航し、採っても戦力化に時間がかかる。
だったら、自社の業務や顧客を理解している人材を、AI前提の働き方に転換した方が合理的、という主張は納得感がありました。
私が感じたこと:中小企業にこそ刺さる
この話は大企業にも当てはまりますが、中小企業ほど刺さると感じました。
理由はシンプルです。
- 人員・資金・時間に余裕がない
- 属人化が起きやすい
- 採用市場で不利になりやすい
- ひとりの生産性の差が会社の業績に直結する
大企業は企業体力で“多少の非効率”を吸収できる場面があります。
しかし中小企業は、変化に追いつけない状態が続くと、競争力に直結してしまう。
だからこそ、「変化に適応できる人を増やす」=リスキリングが経営課題として重い。
講演の問題提起は、より中小企業経営者に刺さる内容だったのではないでしょうか。
結局、論点は2つに集約される
私がこの講演を聞いて、結局の論点は次の2つだと感じました。
- どのようにリスキリングしていくか
- どうやってAIを業務に組み込むか
言い換えると、
「何を学ばせるか」ではなく、どう仕事のやり方を変えるかです。
まとめ
ここまで、Japan IT Weekの講演内容を私なりに要約し、感じたことを書いてきました。
刺激的なタイトルではありましたが、私が受け取ったメッセージはシンプルです。
- 「いらない社員」とは能力の話ではなく、変化を止める状態の話
- AIの台頭は一過性のブームではなく、産業構造が変わるレベルの変化
- 日本企業では「切る」よりも、採用難も踏まえて 育て直す(リスキリング) が現実解
- 特に中小企業では、1人ひとりの生産性が経営に直結するため、先送りしにくいテーマ
結局のところ、企業側が向き合う論点は
「どう育て直すか」と「AIをどう業務に組み込むか」。
ここを“綺麗事”ではなく、現場で回る形に落とすことが重要だと思います。
もし、
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