AI時代の新入社員の育成記録

桜吹雪と青空のコントラストが素敵な今日のよき日、私の可愛い姪っ子が入学式を迎えました。
あんなに小さかった子が、ランドセルを背負っている姿を見ると感慨深いです。
自分の子どもを見ていても感じますが、彼女らの成長のスピードは目を見張るものがあります。

しかし、それ以上に成長のスピードを感じるのはAIの進化です。

昨今のAIの進化は本当に目覚ましく、これまでの常識が通じないのが当たり前になってきています。

彼女らが大人になることには、どんな世界が待っているのか想像もつきません。

さて、前置きが長くなりましたが
本日はこのAI時代に新入社員の育成担当を任された
昨年9月から今日までの事を振り返っていきたいと思います。

中小企業診断士×大手SIer育成担当として1年目にやったこと

AIが当たり前になりつつある今、新入社員教育で一番大事なのは
「AIを使えるようにする」こと
ではありません。
私が重視したのは、
AIの成果物を評価できる土台と、
人が担うべき領域(合意形成・設計判断・責任)にリソースを割ける状態を作ることでした。

この記事では、私が大手SIerで新入社員の育成担当として取り組んだ内容を、現場目線でまとめます。

この記事で分かること

  • AI時代における「AIスキル」の捉え方(作る側ではなく“使いこなす側”)
  • SIerの新人が最初につまずく「チームで働く力」をどう育てたか
  • 議事録・設計・提言を通じて“人が担うべき領域”をどう鍛えたか

前提:新人は9月配属、現場OJTは刷新案件で実施

新人は9月に配属され、それまでは研修を受講。
配属後は、私が関わるシステム刷新案件の現場でOJTを進めました。

刷新案件は中々経験できるものではありません。

だからこそ、
「要件定義→設計→製造→試験→移行→切替」といったプロセスを“現物”で見られる機会として、
育成計画に組み込みました。


“AIスキル”の定義を最初に揃えた

新人にAIのスキルは基本的にありません。
学部も情報系ではありませんし当然です。
ただし、ここでいうAIスキルは「AIエンジニアとしてモデルを作る力」ではありません。

私たちSIerで現実的に求められるのは、次のような能力です。

  • AIを使って成果物の品質とスピードを上げる(使いこなす)
  • AIが出した成果物を評価し、修正指示を出す(レビューする)
  • 人が担うべき部分(合意形成・設計判断・責任)に集中する

要するに、
AIを“作れる”より、
AIを“使い倒し、成果に責任を持てる”こと。
この定義をチーム内で揃えたことで、育成の方向性がブレなくなりました。


「下流から上流へ」の一本道は、現場では成立しにくい

従来の育成は、よくこう語られます。

まずはテストやプログラムの経験を積んで
段々と設計や要件定義などの上流に行きましょう

理想としては理解できます。
ただ、今の現場では前提にしにくいと感じています。

理由は2つです。

1つ目は、実装比率が高いのは委託先で、社員は設計・調整・品質管理に寄りやすいこと。
2つ目は、AIがコードやドキュメントを生成し、価値の重心が「作る」から「評価して正す」「合意して進める」へ移っていること。

だから私は、新人に“書けること”をゴールに置くのではなく、
AIの成果物をチェックできる土台と、チームで成果を出す基礎に重点を置きました。


新人育成で最重要だったのは「チームで働く」こと

新入社員は、社会人になりたてで「チームで働く」経験がほとんどありません。
しかしSIerは、社内だけでなく顧客・他部署・他ベンダーも巻き込み、チームで動くのが基本です。

AIが進化しても、ここは変わりません。むしろ重要度は上がると感じています。
AIが成果物を生成してくれるほど、
最後に必要になるのは「人間同士の合意」「責任の置き方」だからです。


議事録はAIが作れる。だからこそ「合意形成の証拠」を鍛える

最近はTeamsが会話をまとめてくれることもあり、「議事録はAIが作れる」と言われがちです。
私も、生成そのものはAIで代替できると思っています。

ただし、議事録の価値は“文章”ではありません。現場で本当に必要なのは次の3つです。

  • 議論の要点と決定事項(特に決定事項)
  • ネクストアクション(やることが明確か)
  • 誰が/いつまでに(責任と期限が切れているか)

議事録は、後から揉めたときの“合意内容の証拠”にもなります。
だから私は、AIが生成した文章を貼るのではなく
会話の構造(論点→決定→宿題)を自分の言葉で整理し
顧客と共有することを新人にやらせました。

評価の観点はシンプルです。

  • ネクストアクションが整理できているか
  • 誰がどのタスクをいつまでにやるか書けているか
  • 要点と決定事項が明確か(決定事項を特に重視)

AI時代でも「会議で決まったことを、誤解なく、責任と期限付きで共有できる」人は強い。
ここは新人のうちに鍛えたい部分でした。


育成計画はSWOTで作った(特にOTを重視)

育成計画はSWOTの枠組みを使いました。
配属直後の新人にS/Wを断定的に貼り付けるのは危険なので
S/Wは“仮説”として置き、経験を通じて更新する前提にしました。

一方で、特に意識したのはOT(機会/脅威)です。

  • Opportunity(機会):システム刷新という貴重なタイミング
  • Threat(脅威):AIが開発の構造を変え、評価・合意形成・設計判断の価値が上がる

この2つを育成計画に盛り込み、「経験させる順番」を意図的に設計しました。


刷新案件で経験させたこと:設計と顧客説明、他ベンダー調整

現行システムを触らせて「重要ポイント」を掴ませる

設計の入口として、現行システムを操作させました。
その上で「刷新後はどうしていくか」を考えさせ、顧客に説明させました。

狙いは、設計を“作業”ではなく、
「重要点は何か/変えると影響が出るのはどこか/どう説明し合意を取るか」
という思考とコミュニケーションの訓練にすることです。

他部署・他ベンダー連携で「伝えるべきこと」を経験させる

顧客先で別部署やシステム連携があり、他ベンダーと調整する場面もありました。
そこで新人には、意図を整理して伝える経験を積ませました。

  • 我々は何を意図しているのか
  • 何をしようとしているのか
  • 相手に何をしてほしいのか
  • どこまでを前提として共有すべきか

AIが生成する資料が増えるほど、「結局何が言いたいの?」が増えます。
だからこそ、人がやるべきは“意図と依頼を言語化すること”。
ここも重要な育成ポイントでした。


部長への提言:プレゼン練習ではなく「課題設定プロセス」を教える

部長への提言も実施しました。

これは、単なるプレゼン練習ではありません。
私が指導したかったのは、課題設定のプロセスそのものです。

  • あるべき姿(To-Be)を置く
  • 現状(As-Is)を把握する
  • GAPを言語化し、課題を定義する
  • 提言として落とす(施策、優先順位、根拠)

テーマは「来年度以降、どうAI駆動開発を使いこなすか」。
さらに踏み込んで
「それによりどう部の利益を残すか」
「エンジニア部署の利益をどう確保するか」
まで考えさせました。


批判(セクショナリズム等)も想定し
反論を踏まえて組み立てる思考も含めて体験させました。


まとめ:AI時代の新人教育で伸ばしたいのは「評価」と「人が担う領域」

今回の育成で力を入れたのは、次の3点です。

  • AIの成果物を評価できる土台
  • 人が担うべき領域(合意形成・設計判断・責任)の実戦経験
  • ビジネスの基本スキル(要点整理、課題設定、説明力)

AIが普及すればするほど
人がやるべき仕事は「作る」から「決める・進める・責任を持つ」へ寄っていきます。

本日の内容は以上です。

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